【VATER症候群】たくさんの病気を持って産まれた命|強い赤ちゃん

染色体異常を強く疑われた我が子

私の3人目の赤ちゃんである桜空(さく)は妊娠26週で心臓の異常を指摘され、総合病院を受診しました。

総合病院では更に多くの異常を疑われ、染色体異常を強く疑われていました。
異常の内容から、医療従事者で助産師である私も染色体異常の可能性が高いと思っていました。
また、異常所見を検索し、調べた結果、18、21、22番染色体異常のいずれかの可能性が高いのではないかと思っていました。

我が子はVATER症候群だった

妊娠37週、妊婦健診での胎児モニタリング検査で桜空の心音が低下…
そのまま入院となりました。
入院の翌日、桜空は誕生しました。
産声を聴くことはできませんでしたが、生きて産まれてきてくれました。
桜空はすぐにNICUへ行き、必要な処置をしていただきました。
桜空は大丈夫なのか、今どうしているのか、何の染色体異常、病気なのだろう…
誕生後も、私と主人はいてもたってもいられない状態で、ずっと桜空の話をして小児科の医師からの説明を待ちました。

桜空の誕生から約3時間後、医師から桜空の病気について説明がありました。
生後すぐの精査の結果より、桜空は染色体異常はないのではないか、VATER症候群ではないか、とのお話でした。

※その後、染色体検査の結果からも染色体異常は認められませんでした。

VATER症候群?!

妊娠中、桜空の症状を検索している際に、「心臓が右に寄っている」という心臓の位置異常を調べていると、VATER症候群であるという子が1人いました。
我が子もVATER症候群…?
しかし、「VATER症候群の病気」と「我が子が妊娠中に疑われていた病気」が鎖肛疑いしか当てはまりません。

気管食道奇形もなく食道閉鎖もない。
羊水過多でもなく、食道閉鎖はきっとないだろう…
腎臓や橈骨、椎体の異常は今のところ言われていない。
それに、今疑われている病気や異常が当てはまらない…

そのため、きっと桜空はVATER症候群ではなく、医師の言う通り、いずれかの染色体異常なのだろうと思っていました。

しかし、生後すぐの精査の結果、桜空は染色体の異常ではなくVATER症候群だろうとの診断を受けたのです。

産まれて初めてわかった病気の多さ

産まれて初めてわかった病気がたくさんありました。
やはり、お腹の中にいる状態でお腹の赤ちゃんの全てを知ることはできません。
「産まれてみなければわからない…」
その言葉を実感しました。

産まれる前からわかっており、桜空が本当に持っていた病気は

  • 鎖肛(生後、低位鎖肛であることが判明)
  • 大動脈二尖弁
  • 先天性静脈管欠損
  • 単一臍帯動脈
  • 左上大静脈遺残

産まれて初めてわかった桜空の病気は

  • C型食道閉鎖
  • 右主気管支食道起始症
  • 右肺低形成
  • 馬蹄腎
  • 肋骨形成異常

こ…こんなにもたくさん大きな、重い病気があったの?!
こんなにもたくさん…ごめんね。
元気に産みたかった。
元気に産んであげられなかった。
ごめんなさい。

私の感情は、子供への懺悔の気持ちでいっぱいでした。

VATER症候群とは

V(椎体異常)A(肛門奇形)TE(気管食道瘻)R(橈骨奇形及び腎奇形)という5徴候の頭文字の組み合わせで命名されています。

重症度が幅広すぎる症候群

VATER症候群は上記5徴候のうち3徴候があてはまることで診断されます。
上記3つのみの赤ちゃんもいれば、上記3つに他の病気をいくつか持った赤ちゃん、上記5つの病気を持った赤ちゃんもいます。

そのため、同じVATER症候群でも個々で病気が異なり、全く同じ病気を持った子は珍しいといえるくらい、同じVATER症候群でも持っている病気、重症度は様々です。

18トリソミーに酷似しているVATER症候群

桜空は、低身長、耳介変形、食道閉鎖症など18トリソミーの赤ちゃんが持っている可能性の高い症状や病気を持っていました

ネットで検索すると「妊娠糖尿病やトリソミー18の部分症状としてVATER症候群の症状を呈する場合がある」と記載ありますが、その通りであると感じます。

染色体異常がなくても、病気が重いVATER症候群

1つの病気でも「なぜ?どうして…?」
そう思うのに、なぜ我が子にこんなにもたくさんの病気が…

元気で健康に産んであげたかった
毎日想い、涙しました。

なぜなら、手術、検査、これから病気と共に生きていくのは桜空。
大変な想いをするのは私ではなく、子供の桜空なのです。

こんなにも多くの病気を背負わせてしまった。
なんで…
何でこんなことになったのだろう…

VATER症候群はV(椎体異常)A(肛門奇形)TE(気管食道瘻)R(橈骨奇形及び腎奇形)の5徴候3つが当てはまれば診断されます。
桜空は上記4つと、他にも命に関わる重く大きな病気があります。

同じVATER症候群でも、気管切開も人工呼吸器も胃ろうもない子が多い中、我が子は気管切開も人工呼吸器も胃ろうもないと生きられません。
なぜこんなことに。
何がいけなかったのだろう…

自分を責め、何が問題であったのかと振り返っては何も答えが出ず…
ただ、「確率」という問題であることに、どこにもぶつけることのできない悲しみや憤りを感じていました。

病気があっても、障害があっても、大切な「命」

病気がある赤ちゃん、障害のある赤ちゃん、病気や障害のない赤ちゃん、みんな同じ命、大切な命です。
同じ生活を…ということは難しくとも、「できる限り平等な生活の質」が与えられるべきです。

しかし、実際に病気のある障害のある赤ちゃんを出産し、育て、思ったことは、今の社会では「平等な生活の質」が与えられていないことです。

病気の赤ちゃんも、障害のある赤ちゃんも、そのご家族も、何も悪いことなんてしていないのです。しかし、やはり解決できていない問題があります。
大きな病気、重い病気を持った医療的ケア児の桜空を育て、結局は家族で解決しなければいけない問題が多くあり、家族が抱える問題の大きさ、多さを実感しました。

問題が改善されないかもしれませんが、それでも発信し当事者として想いをブログに残したいと思っています。

病気や障害のある子供も、そのご家族も、笑顔あふれる、より幸せな毎日を過ごせるよう願っています。

【VATER症候群】原因不明の難病|10000分の1が我が子に
私の3人目の子ども、桜空は生後すぐの精査で難病指定である「VATER症候群」であることが判明しました。VATER症候群は原因不明の難病です。VATER症候群である桜空を出産した母親である私のこと(妊娠歴など)について綴っています。

 

 

 

 

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