【子供の付き添い入院】多くの問題点と課題|育児でなく看護|病児・障害児

「付き添い入院」の実態

病院によるのですが、小学校低学年頃までの子どもの入院に
24時間の親の付き添いが強制である事実をご存じでしょうか。

私は医療従事者ですが、夜間まで強制で付き添いを求められることを知りませんでした。
医療ケア児であった次男 桜空(さく)を出産後、GCU退院直前にその事実を知りました。

もちろん我が子に付き添いたい けれど…

「もちろん、病気の子どもの傍でずっと付き添い、頑張る我が子を支えたい、
それが産んだ私の責務でもある」

そう思っていましたが、我が子は体調が悪くなり入院することが頻回でした。
人工呼吸器装着・胃ろう・気管切開と医療ケアが必要な子どもでしたので
‟付き添い” というよりは ‟付き添い看護” と感じる部分が多いことは
大きな問題だと感じています。

医療ケア児や障害児が入院する場合は、入院が長期になることが多く、
一緒に売店に行ったり…といった気分転換すらできません。
我が子が入院中に病室外に検査室への移動以外で出ることができたのは
誕生日の翌日のプレイルームに1回行ったことだけです。

日々の看護・介護で疲れ切った親の心

普段の在宅看護でさえ、看護・介護する親は疲れています。
医療ケア児の体調不良は特に大変です。
我が子の場合、呼吸状態が少しずつ悪化し、入院前は吸入・吸引回数が増える上に、
人工呼吸器のアラームが鳴る回数が増え、夜中も何度も起きなければならない状態になります。
また、子供も機嫌が悪くなり、自分でカニューレを引っ張るためカニューレ抜去し、
その都度カニューレを入れ直します。
カニューレが抜けても人工呼吸器が一定時間は鳴らないこともあるため
何度も抜けていないか確認します。
胃の消化・吸収も悪くなるため、胃ろうの注入に要する時間も長くなり、
傍で看護する時間がほぼ24時間になります。
睡眠不足、毎日のケアに疲労が蓄積し、心も病んでいくのが自分でもわかりました。

入院しても継続する看護・介護

入院が決定し、
「やっと医療のプロ(医師や看護師)に子供をお願いできる…」と安心したいのですが、
1週間程度の付き添い入院の準備をし、付き添い入院が開始します。
入院しても、看護・介護は継続で、安心する暇も、ゆっくり睡眠を摂ることもできません。
慣れない環境下で自由な時間は保育士さんが傍にいてくれる45分間です。
その45分でシャワーを済ませ、食事の調達のため病院内のコンビニに行くのです。

きょうだい児の問題

医療ケア児や障害児のきょうだいは、いつも2番手、3番手の存在です。
医療ケア児や障害児のケアが優先され、
「待って」「後で」「自分でして」と言われることが必然的に多くなります。
私自身、「子供たちはできる限り平等に育てたい」と思っていましたが、不可能でした。
日々の子育ての中で、やはり命に関わるケアが最優先されていました。

親が付き添い入院すれば、いつも頼っていた親が1週間程いない状態になります。
我が家の場合、夫は出張の多い仕事で、元々ワンオペ状態でした。
母である私が不在の状況は、子供にとってかなりのストレスだったと思います。
「入院になる」というと、いつもきょうだい2人が
「ママがいないの嫌だ」と言って泣いていました。
泣いている子供を見て、普段からたくさん我慢させているにも関わらず、
入院になれば泣かせてしまうこの状況が母としてとてもつらく、
「桜空を授からなければよかった…」と入院になる度に思ってしまいました。
そんなことを思ってしまう自分自身も嫌いでした。

「桜空が入院にならなければ、大変だけれど円満に暮らせる!」
そう思い、一生懸命に在宅看護しました。
けれど、医療ケア児の桜空はそもそも身体が健康でなく、強くないため、
体調を何度も崩すのです。
何も悪くない桜空に「なんでなの?」と思ったことも何度もあります。
付き添い入院の24時間強制はきょうだい児の心の成長にも
普段からケアしている親の心にも大きな障害になると思います。

付き添い入院の「強制」を変えたい

我が子は2年2ヵ月を頑張って生き抜き、私より先に旅立ってしまいました。
私は今医療ケアの子供がいなくなってしまい、
この24時間付き添い問題の当事者ではなくなりました。

医療ケア児を育てる上で 一番の問題だった 「付き添い入院の強制」

しかし、私はこの問題を放置したままではいけないと思っています。
この問題がなければ、私はもっと笑顔で桜空を育てることができました。

医療ケアが必要な子供も 絶対に親以外の関りが重要だと感じています。

ただでさえ、将来、今に不安を抱きながらの医療ケアや病気を持った子どもの子育て。
今の社会は医療ケア児や病気の子どもを育てる上で、家族に強いていることが大きいと感じます。 私は、元気な子が保育園・幼稚園に通い、先生が愛情持って育ててくれていることと同じで、
病気の子も病院で保育士さんや育児経験のある方に愛情持って育ててもらう時間があって良いのではと思うのです。

親のメンタルを守ること = 子供を守ること

両親は外で少し気持ちを落ち着かせるそんな時間があっても良いと思うのです。
医療ケア児や病気の子どもを育てる人の身体と心が落ち着いていることが、
育てられる医療ケア児や病気の子どもにとっても大切です。

医療ケア児の増加

「医療ケア児や障害児の親になる」という対象が少ないだけに、
この「付き添い入院の強制」の問題は注目されることがありません。

しかし、医学の進歩に伴って医療ケア児は少しずつ増加しています。
この問題で悩むご家族も増えてくると思いますが、問題に直面してからでは遅いのです。

発信しても社会は変わらないかもしれません。
しかし、私は24時間強制の付き添い入院に悩んだ1人の母親であることをブログや動画に残し、
医療ケア児やその家族がより生きやすい未来になるように変わってほしいと思っています。

【子供の付き添い入院】多くの矛盾|在宅看護より入院が親の負担が大きい
1日でも早く退院し、家族揃って一緒に暮らしたい。ほぼ毎日桜空の面会に通い、ケアを学びました。しかし、退院直前に退院後もし入院しても親の付き添い入院が強制であることを知りました。願い叶って退院後、多くの矛盾に気が付きました。私が感じた「矛盾」について綴っています。
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