「完全看護」なのに親の付き添いを強制している 矛盾
私は子供がGCUを退院して、その後再入院になった際、
GCUのように小児科病棟で手厚く看護して頂けるものだと思っていました。
実際に我が子が入院していた大学病院は、私が助産師として産婦人科で働いていた病院でした。
病院は「完全看護」であったため、基本は子供のみが入院し、
親の付き添いの希望があれば付き添える時に親が付き添うことができるのだと思っていました。
しかし、退院後の入院に親の付き添い入院が強制であることを知ったのは、
我が子である医療ケア児であった桜空の退院が決まった後でした。
「え…?24時間付き添い?無理なんですけど…。
それを知っていたら、本当は一緒に暮らしたくても無理だと考えを改め、
今後も入院お願いしていたのだけれど…」
そう思いました。
我が家は夫がほぼ出張で不在、ワンオペで子供2人を育てていました。
24時間の付き添い入院なんて当然無理な家庭でした。
「本来は完全看護しなければいけないのに、
親に付き添いを強制しているのはこの病院だけ…?」
夜間だけでも上の子の世話のため帰宅したい、と病棟師長に願い出ましたが
それすら断られました。
「完全看護」とホームページに掲げないで欲しいと思いました。
「未就学児や小学校低学年の子供の入院には親の付き添いが必須です」と
正直に記して欲しいです。
四国に完全看護してくれる病院は「ゼロ」
「私は毎月入院する桜空に約1週間付き添い、家を不在にすることは難しい。
他に愛媛県や四国に完全看護してくれる病院はないだろうか」
自分で電話して探しました。
しかし、完全看護してくれる病院はゼロでした。
香川県にある「こども病院」でさえ、完全看護ではなく、
親の付き添いを強制していると言うのです。
「完全看護」と病院理念に掲げることはやめてください。
そして、親の付き添いを強制しているわけですから、
それを踏まえた看護報酬を病院は受け取ってほしいです。
看護師さんが悪いわけではありません。
結局、暗黙の了解で「完全看護」といいながら「完全看護」はできていない、
親の付き添いがある上で子供の看護報酬を完全看護と称して得ている病院側に問題があります。
親の付き添いが24時間「強制」されること の矛盾
母である私は病気で頑張る桜空と一緒にいたいです、傍で支えたいです。
しかし、上に子供2人います。
24時間完全に付き添い、上2人と関わることができないことは
きょうだい児にとっても、私にとっても大きな苦痛でした。
親の付き添いを「強制」するのであれば、
家族も宿泊できる病室を完備するなど対策をする必要があると思うのです。
それが感染などの観点から不可能というのであれば、
やはり親の付き添いを24時間「強制」することは間違っていると思います。
24時間付き添い入院の「強制」が家族を苦しめる 矛盾
「上の子が学校や通園している時間など、可能な限り親が付き添う」
私はこれが1番良いと思っています。
「弟が入院するとなると母である私と数日間逢えなくなる」
当時6歳と3歳だったきょうだいもわかっていました。
桜空の体調が悪くなると、
「さくくん、入院?嫌だ、ママが入院するの嫌だ。
さくくんだけが行って!」
ときょうだいが泣きながら言うのです。
その姿を見て、私も悔しくて泣きました。
元気に桜空を産みたかった。
付き添い入院と無縁な生活を送りたかった。
いつも医療ケア児である桜空を優先しての生活。
きょうだい2人はいつも後回しの存在で、たくさん我慢していることを知っていました。
そんな我慢してくれているきょうだい2人を
「付き添い入院の強制」という無謀な病院側の勝手な決まりで
泣かせてしまうことに苛立ちさえ感じました。
「退院後の入院は24時間付き添いが強制」という大事なことは、
絶対に退院を希望する家族に伝えて欲しいです。
そして、家族に強要しなくとも、病院側が保育士や育児経験者を雇うことで、
子供を完全看護できるように少しずつでも変えていく必要があると思います。
付き添い許可書 の矛盾
私は24時間の付き添い入院を希望していません。
ですが、「付き添い許可書」に一筆書くことをお願いされます。
希望はしていないので書かなくて良いですか?
と聞いてみたところ「決まりなので」と看護師長に言われました。
親が希望したから付き添いを許可する、と言った内容の付き添い許可書を
強制で付き添い者に書いてもらうことは間違っていると思います。
「在宅看護」よりも「入院」の方が親がしんどくなる 矛盾
家で診るより、入院して看護師さんが診てくれる方が楽である印象がありますが
全く違います。
それは「付き添い入院が強制」だからです。
入院することができても、付き添い入院が強制である限り、
医療ケア児や障害児の親が心身を休ませる時間はありません。
在宅看護をしている間、我が子のように人工呼吸器を必要としている子の親は
1日3回、1回1時間半の訪問看護を利用できます。
しかし、訪問看護師の不足により、私は1日2回、計3時間の訪問看護を
利用させて頂いていました。
この3時間はとても貴重な時間でした。
上の子供を公園に連れていくことができ、自分が何も気にせずに
大の字で目を閉じて休むことができるとても大切な時間です。
しかし、入院すると45分の保育士さんが来てくれる時間以外は
ずっと体調の悪い子供を看護しているため、全く休まりませんでした。
回数の多くなった吸引・吸入、
更に吸収に時間がかかるようになってしまった胃ろうへの注入と点滴を
子供がチューブを引っ張ったりしないか、ずっと見守る必要があるためです。
また、保育士さんが来てくれる45分間はゆっくりできる時間ではありません。
シャワーに入り、朝・昼・夕食を買う、時に手続きのため受付まで行く時間です。
早歩きでミッションを遂行する45分間で、軍隊の訓練のようでした。
看護師より親の方が大変 な矛盾
入院中はほとんどの物品が使い捨てです。
注入に使用するシリンジも、経管栄養のチューブも、吸引チューブも、
一度使ったら捨てます。
しかし、退院し在宅看護となると、今までのように物品は使えず、
限られた物品支給となります。
実費で買うものもたくさんあります。
今までであれば使い捨てできたものも、洗って消毒して使用することになります。
清潔不潔の観点から、それはいかがなものでしょうか。
また、在宅で看護している家族の負担は看護に加えて、
物品の洗浄・消毒も加わり、大きすぎます。
入院中から使い回しであれば何も思いません。
しかし、入院している間は看護師は使い捨てでき、
在宅看護します!と言った家族には物さえも使い回しであることに違和感を感じます。
継続して入院している方が税金を多く使うわけですから、
退院して自宅で診る家族に病院で看護師が使っていたように物品を支給することくらいは
継続しても良いのではないかと思います。
入院したままの方が家族の負担は少ない 矛盾
家族一緒に、家族揃って過ごせることは、何よりも幸せなことだと思っています。
しかし、現実は残酷です。
私が医療ケア児である桜空を育て思ったことは
「子供をずっと入院させていた方が、家族はより多くのことに悩まずに済む」
ということです。
結局この結論に至ってしまう今の現状は、絶対におかしいと思います。
親の付き添いは希望に変えるべきです。
子供を看護し育てる親が笑顔でいられなければ、病児や障害児も幸せにはなれないと思うのです。
家族が子供の病気に悩み向き合いながらも、幸せに暮らせるように寄り添うべきです。
