本来の赤ちゃんの心臓
本来、お腹の中の赤ちゃんの心臓は超音波で見ると左右の心房(心臓の上側)、左右の心室(心臓の下側)の4つの部屋がバランス良く4つに分かれて見えます。
胎児の心臓の左右差(アンバランス)
心臓の4つの部屋の大きさが極端にアンバランスであると、心臓に異常がある可能性が高いと言われています。
心臓アンバランスの原因
左右の心室のアンバランスで診断される疾患には
三尖弁閉鎖症、僧帽弁閉鎖症、左心低形成心、心室中隔欠損症を伴わない純型肺動脈閉鎖症、心室中隔欠損症を伴わない純型肺動脈狭窄症があるようです。
胎児期に右室優位の心室アンバランスがあるときは左心系の狭窄性疾患を有することが多いと言われています。
※出生後に動脈管を介した左心への負荷の増加が左心系の発育、正常化に大きく関与する可能性もあるため、必ずしも疾患があるとは限らないようです。
心臓のアンバランスの原因について検索をすると、このように心臓の構造や血管に何かしら疾患があることで起こると記載されているものがほとんどです。
我が子の心室アンバランスの原因
我が子は心臓の中でも心房(心臓の上側)ではなく心室(心臓の下側)のアンバランスを指摘されていました。
妊娠中に我が子の心室アンバランスの原因を予測すると以下の2つのことでした。
- 染色体異常があり、心臓に疾患があるため
- 左心室側に貯まった心嚢液の貯留
心臓の構造・血管異常以外の心室アンバランス
我が子が産まれ、我が子が心室アンバランスであった原因を考察してみると
- 左心室側に貯まった心嚢液の貯留
- 右肺が左肺より下方に位置していたことによる心臓の位置異常
これらなのではないかと考えます。
心臓の構造や血管の異常がなくとも、心臓の周りに貯まった心嚢液の貯留の存在は心臓を圧迫することで心臓アンバランスを引き起こす原因になる可能性があるのではと推測します。
また、心臓周辺の臓器の妊娠早期からの異常により圧迫、偏移を受けて心臓が位置異常を起こすだけでなく、心臓アンバランスの原因になることはあり得るのではないかと考えます。
我が子にあった稀な奇形「右主気管支食道起始症」
我が子、桜空には稀な奇形である「右主気管支食道起始症」がありました。
この奇形は、右の気管支が気管からではなく、食道から分岐している奇形です。
桜空の場合、本来、右気管支が気管から分岐する位置より下方から右気管支が食道から分岐しており、右上方に心臓が移動できるスペースが空いてしまったため、本来左側にあるべき心臓が右に寄ってしまったと推測されます。
また、この奇形は妊娠が判明する時期である妊娠4~7週頃にすでに起こっている奇形です。
このような妊娠極初期に起こる奇形は他臓器の位置異常を起こすため、心臓など周辺臓器のアンバランスにも関係してくるのではないかと推測します。
「ターナー症候群」の症状に似ていた我が子
我が子は男の子。
ターナー症候群は女の子の性染色体異常であるため、我が子はターナー症候群ではありません。
しかし、症状はターナー症候群に類似していました。
ターナー症候群に類似していると感じた症状
- 妊娠中に指摘された心臓の左右のアンバランス
- 静脈管の形態異常(桜空の場合は静脈管欠損)
- 腎臓の形態異常(桜空の場合は馬蹄腎)
- 大動脈二尖弁(妊娠中は大動脈縮窄症疑いでした)
- 翼状頚
産まれた直後に桜空を見て「首の後ろが浮腫んでいる、たるんでいる!」と感じました。
医療従事者ではない主人も「桜空の首、ぶよぶよじゃない?あれは大丈夫なの?!」と言ったほどでした。
「翼状頚」に当てはまるかどうか不明ですが、たくさんの赤ちゃんを助産師として見てきて「違う」と感じた点ですので「翼状頚」ではなくとも近いものがあると感じました。
大切なことは万全な体制で赤ちゃんの誕生を迎えること
赤ちゃんの心臓の異常を告げられ、不安でない母親はいないと思います。
しかし、妊娠中に「心臓に異常があるかもしれない」ということや「他の異常」がわかった場合、赤ちゃんを無事に出産するために総合病院に転院するなど体制を整えることができます。
これはとても幸運なことであると感じます。
母児ともに無事に出産することが一番大切です。
より適切な産院で、より適切な分娩方法で、出産の日を迎えて下さい。
母児ともに安全に出産できますことを心より願っています。