大動脈二尖弁とは
本来、3つで構成される尖弁が2つであること
最も頻度の高い心血管異常です。
出生児の0.5~2%にみられます。
大動脈二尖弁の症状
心臓の圧が高まるために肺に負担がかかり、息切れや呼吸困難を生じます。
心臓から出ていく血流が少なくなるために、脳の血流も低下し、めまいや失神を起こすことがあります。
生まれつき大動脈二尖弁があると、若い方でも大動脈弁狭窄症になることがあります。
赤ちゃんや小児の大動脈二尖弁
大動脈二尖弁による機能障害があってもわずかである場合は無症状であることが多いです。
心電図雑音などによって、学童期に大動脈二尖弁が判明する場合もあります。
大動脈二尖弁の手術適応
小児期は無症状、あるいは症状が軽症であっても、10歳代になると症状の進行が見られる場合があります。
大動脈弁形成術の開発に伴って、小児期~青年期の手術適応も広がり、増えています。
大動脈二尖弁の予後
一般健常人の生存率と比して有意差はありません。
しかし、重篤な弁疾患、大動脈疾患があれば、それに対する治療が必要になります。
大動脈二尖弁の遺伝
大動脈二尖弁を有する方の親、あるいは子供に大動脈二尖弁が存在する頻度は約9%と言われています。
そのため、大動脈二尖弁が遺伝する確率はあまり高くないと言えます。
大動脈縮窄を疑われていた我が子
桜空はお腹にいるときから、たくさんの病気を疑われていました。
その一つが「大動脈縮窄」でした。
胎児心拍モニタリング(NST)で徐脈ぎみな我が子
本来、お腹の張りや出血など切迫早産の症状がなければ、お腹の赤ちゃんの心拍を確認する胎児心拍モニタリング(NST)をすることは正期産である37週以降であることが多いです。
我が子はたくさんの病気があったため、総合病院に転院した27週から胎児心拍モニタリングを行っていました。
それで気になっていたことは「桜空が徐脈傾向にあった」ということです。
「異常」に相当しませんが、「脈が明らかに遅い」と感じていました。
正常な胎児の心拍は110~160bpm。
しかし、桜空は100~135bpmが多いのです。
140bpmを超えることがあまりない…
胎児が元気であると言えるモニタリングではあるのですが、「正常とは少し違う…」
やはり、何か心臓に異常があるモニターだ…
「大動脈縮窄があるからだろう…」
そう思っていました。
「大動脈縮窄症」ではなく「大動脈二尖弁」だった
31週で新生児の心臓手術が可能な大学病院へ転院、二度目の胎児精査をすると「大動脈縮窄はお腹におる赤ちゃんが小さいことを考慮すると問題ないかもしれない」と説明を受け、新たに「大動脈二尖弁があるかもしれない」と指摘されました。
そして、産まれた我が子は「大動脈二尖弁」でした。
徐脈の原因は「大動脈二尖弁」かもしれない
大動脈弁の弁尖が2つであるという形態的異常は、時に狭窄や逆流の原因となります。
我が子は他にもたくさんの病気を持っていましたので断言できませんが、「大動脈二尖弁=徐脈の原因」に成りうるのではないか、と推測します。
「大動脈二尖弁」だった我が子の産まれてからの経過
我が子は寝入ると脈が60回/分を下回ることが頻繁にあり、よく心電図モニターのアラームがなりました。
しかし、何もせずとも脈は回復していくため、何も医療介入はせず経過観察でした。
また、起きているときは徐脈になることはなく、脈も安定していました。
しかし、成人に近づいていくと手術の必要性が出てくるとのお話でした。
そのため、今は問題がなくとも、成長するにつれて現れる異常を早期発見するためにも、定期的に心電図モニターで脈の波形を確認し、手術適応時期を判断することが必要なのだと感じます。