子供たちと涙でバイバイ
精査入院の日がやってきました。
上2人の子供たちには前もってママが入院することを伝えていました。
しかし、入院直前に「バイバイいやだ…」と、やはり泣き出す子供たち…
我が家は、主人が出張の多い仕事で、主人が自宅で過ごす日が月に4日程である月も多かったです。
そのため、私と子供2人の3人で過ごすことがほとんどでした。
今までずっと一緒であった母と夜も離れ離れです。
入院なく胎児精査できると良かったのですが、医師に相談しましたが難しいということでした。
お腹の中にいる桜空を精査して頂き、より安全に出産を迎えることはとても大切です。
今回の精査入院は桜空のために大切な入院です。
子供たちに申し訳ない気持ちでしたが、子供たちに説明し頑張ってもらうことにしました。
胎児精査
19時から小児科の医師も同席のもと、桜空を診ていただきました。
産婦人科医、小児科医、4名に囲まれてエコー…ドラマのワンシーンの様です。
こんなことが自分の身に起こるとは桜空を妊娠するまでは夢にも思っていませんでした。
これが夢でもなく、現実なのだと思うと、じーんと胸が痛くなり、自然に涙が流れていました。
普通に3人の子どものママになりたかっただけなのに…
なぜ、こんなことになってしまったのか…
なぜ、桜空を元気に産んであげられないのか…
ただただ悲しかったです。
また、今までは助産師として医療者側にいたわけですが、今回は患者側、当事者側です。
なんとも言えない気持ちでした。
医師たちが専門用語で話しています。
少しでも桜空のことを早く知りたく、耳を澄ませて聞きました。
「アナルが見えにくい…」(鎖肛?鎖肛もあるの…?)
「…が低い」(耳?耳介低位?…今まで耳たぶしかないように見えた耳…実際どうな耳なんだろう…)
(入念に心臓を診てくれている…)
(心嚢液を測っている…増えてはいないように見えるけど大丈夫かな…)
精査が終わり、精査の結果は夫婦で聞くことが前提であるため、翌日に結果説明となりました。
私はただただ不安なまま病室に戻りました。
大学病院に転院
担当医が部屋に来ました。
先ほど精査して頂いた結果の説明はまだ聞いていない状態でしたが
「ここでは成人の心臓の手術しかできません。新生児の心臓の手術は大学病院でしかできません。」
と説明あり、産まれてすぐの心臓手術が必要かどうかはわかりませんが、もしもに備えるため大学病院への転院が決まり、医師からの精査結果の説明の前に転院の手続きをして頂くことになりました。
精査結果
精査翌日に主人と私は桜空の精査結果を聞きました。
確実にあると言えるものは
- 単一臍帯動脈
- 心室アンバランス
- 左上大静脈遺残
- 心嚢液貯留
- 大動脈縮窄
疑いがあると思われるものは
- 胸腺低形成または無形成
- 鎖肛
- 耳介低位
- 僧帽弁狭窄
- 卵円孔狭窄
疑いではありますが、病名はこんなにも増えてしまいました。
自分の子供がこんなことになるなんて…
こんなにもたくさんの病気があるなんて…
一つでも不安なのに、こんなに…なんで…
私は、涙が溢れだし、医師の前で泣きたくなんてないのに泣いてしまいました。
こんなことが我が子に起きてしまうなんて…
前向きに考えようと思っても、現実は残酷でした。
想い虚しく、地獄に突き落とされる、そんな気持ちです。
担当医への感謝
次の健診から私は大学病院を受診します。
県立中央病院を受診するのは今回で最後。
私は担当医に感謝の気持ちを伝えました。
「我が子が病気かもしれない」
そうなった瞬間から、母親は我が子に関する、より正確な情報を求めます。
私は当事者となり思いました。
「一日でも早く、一つでも多く、我が子の確かな情報を知りたい」
胎児超音波に詳しい医師に診て頂くことは、不安な母親の気持ちを少しでも緩和することに繋がります。
私は超音波に熟練した担当医に診ていただいたことで少し気持ちが軽くなり、安心できたのです。
例え仕事であっても、桜空に関わって下さった方は皆、私の恩人です。
医師にとっては、このように異常のある胎児を診て関わることは日常茶飯事です。
しかし、当事者である妊婦は想像以上の不安と悲しみの中で受診しています。
助産師でもあり当事者にもなってしまった私が感じたこと、
それは「これからも不安でいっぱいの中、受診される妊婦を助けてほしい、支えてほしい」ということでした。
悲しいことに、お腹の赤ちゃんの異常を宣告される妊婦さんは今までも、今も、これからの未来にもいるのです。
医師がお腹にいる赤ちゃんの状態を診ることができることで、より赤ちゃんは安全な出産のために準備することができ、母親の安心にも繋がります。
担当医が桜空を診て下さることは私の心の支えであったこと、感謝の気持ちをお伝えし、その場を失礼しました。