胎児発育不全とは
お腹の赤ちゃんが何らかの理由で発育が遅くなった、あるいは停止したために週数に相当した胎児の発育が見られない状態をいいます。
推定体重が-1.5SDの場合は「胎児発育不全」と言われ、要注意となります。
胎児発育不全には2種類あります。
均衡型胎児発育不全
妊娠初期から見られる胎児発育不全のことです。
多くは妊娠20週以前に認められます。
胎児因子による胎児発育不全をいいます。
細胞増殖に障害があるため、赤ちゃんの身体が全体的に小さいです。
胎児発育不全の10~30%を占めます。
原因は胎児の先天奇形や先天性神経筋疾患、染色体異常、胎内感染、母体の妊娠早期の薬物服用、アルコール摂取・喫煙などです。
不均衡型胎児発育不全
妊娠中期や後期から見られる胎児発育不全のことです。
多くは妊娠28週以降に認められます。
胎盤や臍帯因子によるものと母体因子による胎児発育不全をいいます。
胎盤機能不全や酸素・栄養供給の慢性的な障害があるため、赤ちゃんの頭は正常なサイズで身体が小さいです。
胎児発育不全の70~90%を占めます。
原因は胎盤や臍帯因子によるものは前置胎盤、胎盤早期剥離、胎盤梗塞、臍帯巻絡、臍帯下垂、臍帯圧迫、臍帯付着異常であり、母体因子によるものは高血圧症候群、糖尿病、多胎妊娠などがあります。
胎児発育不全と胎児の先天性異常の関係
均衡型胎児発育不全である場合、胎児の先天性異常の可能性が高まります。
妊娠初期から胎児が小さい場合、他に臍帯の異常、心臓などの臓器に異常な所見がないか診ていく必要があります。
我が子の胎児発育不全
妊娠時に基礎体温を記録しており、排卵日に大きな差がなかったにも関わらず、胎児の大きさが小さかったため予定日が1週間遅れました。
その結果、胎児相当の大きさで分娩予定日を遅らせ修正しているにも関わらず、その後も我が子は週数相当の成長が見られず、成長が遅れていき、胎児の成長曲線の下線ギリギリの推定体重となりました。
我が子は妊娠初期からの胎児発育不全である「均衡型胎児発育不全」に当たります。
染色体異常が疑われた我が子
26週で心臓の異常を疑われ、総合病院を受診し染色体異常の可能性が非常に高いことがわかりました。
赤ちゃんが小さいことに加え、臍帯の異常(単一臍帯動脈)、胎児の形態異常(心臓の異常、鎖肛、耳介低位など)が複数疑われる場合は染色体異常の可能性が非常に高くなります。
染色体異常が疑われたまま、確定診断である羊水検査は胎児へのリスクがあること、費用が高額であり、その費用を病気のある我が子が生まれてから必要なものを購入する費用に充てたいと考え、妊娠中に羊水検査は受けずに出産を迎えました。
我が子は染色体異常ではなく「VATER症候群」
結果、我が子は染色体異常はありませんでした。
しかし、染色体異常がなかったことで安心できる状態ではありませんでした。
複数の先天性異常があるvater症候群でした。
右耳外耳道閉鎖・食道閉鎖・気管軟化症・気管支肺前腸奇形・鎖肛など、たくさんの奇形を持って産まれました。
妊娠中にたくさんの情報を収集してきました。
その結果、私が感じたことは、均衡型胎児発育不全に加え、他の異常が複数ある場合は染色体異常の可能性があること、染色体異常がなくとも〇〇症候群である可能性が高まる、ということです。
大切なことは万全な体制で赤ちゃんの誕生を迎えること
赤ちゃんの胎児発育不全を告げられ、不安でない母親はいないと思います。
しかし、妊娠中に「赤ちゃんが小さい」ということや「他の異常」がわかった場合、赤ちゃんを無事に出産するために総合病院に転院するなど体制を整えることができます。
これはとても幸運なことであると感じます。
母児ともに無事に出産することが一番大切です。
より適切な産院で、より適切な分娩方法で、出産の日を迎えて下さい。
母児ともに安全に出産できますことを心より願っています。