どこからが「いじめ」になるのか?
「いじめ」はとても難しい問題だと思います。
なぜなら、”一度無視された” “仲間外れにされている気がする”
この事実を受け取り側が「いじめをされた」と捉えれば「いじめ」となるためです。
一言に「いじめ」と言っても、内容の幅が広く対応の難しさも感じられる問題です。
しかし、私が中学時代にされたことは「いじめ」なのです。
なぜ断言できるか、それは「死ね」という言葉が出ているためです。
私が受けた「いじめ」
私は中学1年生の時に「いじめ」を受けました。
女子は大抵の場合、クラス内で仲が良い子が集まり「グループ」ができます。
仲が良かった女子5人のグループ、その中の1人が私でした。
ある日、突然「いじめ」は始まります。
机に「死ね」の文字
朝、学校に行き、同じグループの友達に「おはよー!」と言うと無視…
昨日まで普通に会話していたので 気のせいかな? そう思って自分の席に着くと
机に大きく鉛筆で書かれた「 死 ね 」の文字…
あぁ…これはいじめが始まった… そう思いました。
気のせいではなく、意図的に友達は無視したのだと察しました。
休憩時間にすれ違い様に「おはよう!」と言っても、他の友達3人も無視でした。
机に書かれた「死ね」の文字を消そう…
始めは机に書かれた文字を見て、固まり、どうしたら良いのか考える思考さえ停止していました。
机に「死ね」と書かれた事実…この事実を受け止めることに時間がかかりました。
授業中もこの文字を見ながら悲しくなり
消そう… そう思いました。
このままにしていても虚しいだけ。
私は泣きながら、机に書かれた「死ね」の文字をゆっくり消しゴムで消し始めました。
笑っている友達4人
消しゴムで消していると、教室の端から笑い声が聞こえます。
グループの友達4人が笑いながら、こちらを見て笑っているんです。
「消してるよ~」
「消しても無駄なのにね」
私にはなぜこんな目に逢わなければならないのか、
無視をされたり、「死ね」と書かれる理由がわかりませんでした。
明日もまた…
正直、学校に行きたくなかったです。
でも母に心配を掛けたくない。
次の日、学校に行きました。
すると、また机に「 死 ね 」の文字!
ちらっとグループの子たちを見ると、くすくす笑っている。
また、私は机に書かれた「死ね」の文字をゆっくり消しゴムで消しました。
母に相談
母に相談すると絶対に母は心配するだろう…
そう思い、相談したくはなかったのですが、もう学校には行きたくない。
言わなければ学校を休めない
そう思い、母に言うことにしました。
話を聞いた母は怒り心頭。
「学校に言う!担任に相談する!」と。
しかし、学校側に言ってしまうと、友達4人の行動がよりエスカレートするかもしれない。
そう思い、言いたくないと伝えました。
母は「理由もわからない。手紙を書いて、なぜそんなことをするのか聞くのはどうか」と提案しました。
きっと手紙もひどいこと書かれるに違いない…
そう思い書くことも嫌でしたが、直接聞くのはもっと怖かったので、手紙を書くことにしました。
理不尽な理由
次の日もやはり同じ。
私は登校後すぐに机に書かれた「死ね」の文字を消しました。
そして同じくグループの子たちを見ると、くすくす笑っている。
勇気を振り絞り、グループの子たちのところに行き、手紙を1つ渡しました。
翌日、友達4人は私の机の前に立ち、「はい、しょうちゃん♪」と私に話しかけ、
友達1人1通ずつ、4つの手紙が乱暴に机の上に置かれました。
自宅に帰って手紙を読んだとき、驚愕しました。
私が無視され、「死ね」と書かれた理由は、グループのリーダー的存在だった子の好きな男の子と私が会話をしたからという内容だったのです。
そんなこと聞いてない…
あまりにも理不尽な理由に、私は本当に驚愕しました。
まず、リーダー的存在の子に好きな子がいることを知りませんでした。
一度もそのような話、聞いたことがないのです。
その男の子は私の隣の席でした。
私が持っていた文具にプリントされていたアーティストがその男の子も好きだったらしく、その話をしただけでした。
私はまた手紙を書きました。
好きな子がいることを知らなかったこと、もうその男の子と話さないからと。
翌日返事の手紙がまた机に乱雑に置かれました。
家に帰って手紙を見ると、
「しょうちゃんは男好きだ、そんな子と一緒にいるなんて無理」
こういった内容の文章が長々書かれていました。
言われるがままに行動する友達3人
落ち着いてよく考えてみると、本当に私のことを嫌って嫌がらせをしてくるのはリーダー的存在の子だけでした。
他の3人の友達は同じような内容の文章を書かされているといった印象でした。
しかし、他3人もリーダー的存在の子に嫌われるのが怖かったのでしょう。
「こんなことやめよう」そう言ってくれることはありませんでした。
しかし、こればかりは仕方のないことです。
反対して言い返せば、何を言われるか、何をされるかわからない。
みんな次のいじめの標的にはりたくないのです。
自分が行動した3つのこと
私がしたことは以下の3つになります。
-
いじめた友達との関りを断つ
-
他の友達と一緒に過ごす
-
されたことには毅然と振る舞う
いじめ その後
相手がみじめでなくなると相手にしなくなる
私はもう手紙で聞きたいこともなくなり、謝っても一緒にいられないということがわかったため手紙を書くことをやめました。
毎日「学校に行きたくない」そう思いました。
しかし、私には他にも友達がいました。
私は他の友達に「一緒にいても良い?」と話しました。
その友達は「うん、いいよ、でもどうしたの?〇〇ちゃんたちは?」と。
私が「いろいろとあって一緒にいられなくなってしまった」
と話しました。
友達は深くは聞かず、「うん、大丈夫だよ」と言って一緒にいてくれました。
机に「死ね」と書かれることは、それからも数日続いたのですが、私は淡々と毎日消しました。
4人の友達が笑っていたり、自分のことを話しているとわかっても気にしないように自分を訓練しました。
私は経験を通して、いじめる側は、いじめた子がみじめであることを面白がっていると思いました。
されたことに感情を出さず、淡々と対処して他の友達といる、そうするといじめることが面白くなくなり、いじめの対象でなくなります。
クラス替えで完全にいじめはなくなった
中学1年から2年へのクラス替えで、クラスメンバーも変更されるため完全にいじめは無くなりました。
とは言っても、以前のように友達4人と会話するということは中学2年になっても3年になってもありませんでした。
いじめた側は覚えていないに等しい
いじめられた側は永遠に悲しく、つらかった記憶として覚えています。
しかし、びっくりすることにいじめた側は覚えていなかったり、そんなにひどいことをしたという自覚がないのです。
成人式の日、そのグループのリーダーの子は私を見るなり駆け寄って、
「あ、〇〇ちゃん♪写真撮ろー♪」と言ったのです。
開いた口が塞がらないとはこのことです。
私は中学1年のとき、どれだけつらかったか、あのいじめでどれだけ学校に行きたくなく、悩んで泣いたか。
私は忘れたくても忘れられない出来事ですが、
いじめた側は大したことでないと思っているのでしょう。
だからこそ、思ったのです。
いじめられている、その時はとても悲しい。
しかし、その時の決断で絶対に後戻りできないことをしないことです。
いじめた相手は、いじめられた側が何をしても後悔することも謝罪することもないと思った方が良いです。
むしろ、覚えていなかったり、大したことをした自覚はないのです。
復讐などを考えることは絶対にやめ、自身の人生を生きるために大切なことを考えていきましょう。