それは、同じように胎児の異常を言い渡された妊婦さんに寄り添いたいからです。
あなただけではない、助産師で同じ母である私も思ったことを素直に綴っています。
思ってはいけないことも思いました。病気や障害、染色体異常のお子さんを授かった親の気持ちは当事者にしかわかりません。家族にもこの気持ちは理解できないのです。
しかし、当事者である、同じ経験をした自分はわかります。「今すぐに消えてなくなりたい…」
幸せそうな妊婦さんを見て「私もそうなるはずだったのに…」
幸せそうな妊婦さんとは居る世界が違うように感じます。
私もそっちの世界にいたかった…
なぜ、そうでないのか…当事者である私にできることは同じような境遇にある方にブログを通して寄り添い共感すること。
あなたは1人ではありません。
とてもつらいですね。
なぜこんなことになったのか…
答えのない疑問をいつまでも抱いてしまいます。
自分の何が悪かったのか、自分を責めてしまいます。
しかし、あなたは悪くない。
これから少しずつ「受け入れる」「受け入れられない…」
この2つの感情を繰り返しながら、親子で前に進んでいきます。
自分の気持ちを蓋する必要はありません。
堂々と生きて下さい。
天国から地獄へ
「地獄」というと表現が悪いのですが、正直にこう感じました。
私は赤ちゃんを授かり、可愛い胎動を感じているお花畑な天国から、地獄に突き落とされました。
26週…堕ろすことはできない…
すぐに思いました。
「堕ろす」という選択肢があるのは21週6日まで。
今26週、22週は1ヶ月前に過ぎています…
もう「堕ろす」という選択肢すら自分にはないのです。
「堕ろす」決断は簡単ではない
「堕ろす」という選択肢がある週数で胎児の異常がわかったとしても、その決断をすることは簡単なことではありません。
赤ちゃんを堕ろす決断をしたご家族は、決断後も様々な想いを抱き生きていると思うのです。
簡単に決断したわけではない、悩みに悩んでの決断なのです。
「もし、産んでいたらどんな子だっただろうか」
「もし、産んでいたらどんな人生だっただろうか」
私にこの選択肢があった場合、とても悩み苦しんだと思うのです。
この決断をしたご両親やご家族の想いは図り知れません。
赤ちゃんは可愛い、だけど…
お腹の中にいる赤ちゃんは病気や障害、染色体異常があっても自分と主人の赤ちゃん…
赤ちゃんは可愛い…自然に任せて産みたい…
だけど…
ただただ可愛い、愛おしい…
そんな気持ちで病気や障害、染色体異常の赤ちゃんを出産できない問題が現代社会にはあるのです。
経済的な不安、きょうだいや周囲への不安
今は専業主婦のご家庭は少なくなっています。
共働きを前提に子供を1人2人、3人と授かる人は多いと思います。
そんな中、母である自分が働けなくなるかもしれない…という経済的不安を感じます。
また、きょうだいに迷惑をかけることにはならないだろうか…
きょうだいに我慢させたり、負担をかけることにならないだろうか…と見えない未来に不安を感じます。
両親はどう思うだろうか、親戚はどう思うだろうか、ご近所の方はどう思うだろうか…周囲への影響も気になります。
赤ちゃんは可愛い、だけど…
このような思いから、産みたいという気持ちがあっても産まない選択をする人は多いと思うのです。
お腹の子はどんな子なの?
目はあるの?鼻はあるの?どんな子なの?!
何の病気があるのだろう…
病気は1つではない気がする…
染色体異常があるのだろうか…
この子は生きられるのだろうか
手術は必要なのだろうか
今まではお腹の子のイメージが可愛い赤ちゃんであったのに、病気がありそうだと宣告された日からお腹の子のイメージはイメージかつかめないためエイリアン状態でした。
なぜ、こうなってしまったのだろう
元気に産んであげられないのか…
元気に健康に産みたかったのに
何がいけなかったのだろう…
何でこんなことになったのだろう…
ごめんね、ごめんね
ママがいけなかったんだ、ママの何かが…ごめんね
今までの妊娠期間を振り返り、何が原因であったか、原因なんてないのに必死に探そうとしていました。
そして「自分が悪かったのだ」と自分を毎日責めていました。
私にお腹の子の母が務まるだろうか…
可愛がれるの?愛せるの?
自分はこの子の母親になれるのだろうか、大丈夫だろうか…
お腹の子の母親が自分に務まるのか、責任を負えるのかとても不安でした。
生き地獄…
お腹の子が何の病気なのかは産まれるまでははっきりしません。
だからこそ、より不安が大きくなり、産まれるまでそればかり考える日々でした。
まさに生き地獄…
疲れる…、疲れるけれどお腹の子のことが知りたくてスマホで検索してしまう日々…。
26週で異常が判明したため、37週で出産するまでの11週間、不安な中過ごしました。
毎日泣きました。
泣いては検索、これを繰り返すとてもつらい妊娠生活でした。
未来を変えたい、自分のような想いを誰にもしてほしくない
お腹の赤ちゃんの存在をただ愛することができる社会になることが私の理想です。
私が困ったことは私が生きているうちに解決したい、そう思っています。
まずは「知ってもらうこと」が大切だと感じました。
子どもの病気・障害の責任を母親だけが、ご両親だけが、ご家族だけが感じなくて良い社会にしたいと思っています。
助けた助けられた命は社会で支えていくべきだと感じます。
これが変わらなければ元気な子しか産めない、元気な子しか望まれない社会になります。
今は出生前診断が急速に普及しています。
35歳でなくても希望があれば出生前診断できる世の中になりました。
みんな子供が健康な子であるか心配なのです。
しかし、出生前診断をして100%元気な健康な赤ちゃんを授かれるかというと、授かれないのです。
産まれてみないとわからない病気、産まれてから何ヶ月か何年か経ってわかる病気は数えきれないほどあるのです。
大切なことは、どんな赤ちゃんが産まれてきても社会で育てて行ける体制を作ることです。
どんな赤ちゃんも、産まれてこれた赤ちゃんの存在に感謝し、愛情を受ける権利があると思っています。
皆がまずは知ることから、そして産む決断をしたり、産む選択肢しかなかったとしても産まれてきた赤ちゃんが社会で守られながら愛されながら生きていける社会になることを望んでいます。